三好まあや 銅版画展 2008.7.29〜8.3

影書房『ヘルボックス』出版記念

三好まあや作品

活字から人間の叡智と地獄を知るために

本書のタイトルである「ヘルボックス」とは、こぼれた活字や不用となった活字を入れる箱のことで“地獄の箱”とは神を冒涜し、サタンに魂を売るものと疑われた印刷術の出生の秘密をもほうふつさせるし、箱に捨てられ、再び滅地金として300度の焦熱地獄である鋳造機を経る作業工程をも形容している。

活版印刷は、本書にしるされるように、みごとな分業作業によって成り立っていた。
活字屋、地金屋、材料屋、機械屋、インキ屋、ローラー屋、トレース屋等々、人と人、人と機械の微妙なバランスによって維持されてきた。
「あやういバランスの上で操業を続けてきた活版印刷に引導を渡したのは、悪名高いあの地価高騰だった」と著者はいう。
バブル経済の燗熟と膨張が、90年代印刷所を直撃し、活版印刷の衰退に拍車をかけたのである。

バブルは歴史認識をも蒸発させ、戦後養われてきた民主主義の土台を掘り崩した。浮かれた時代の精神風景は「ヘルボックス」を厄介払いにし、新たな時代の戦争という、パンドラの箱を開くのに、手を貸したといえる。

その意味でも、いま改めて活版印刷から人間の「地獄」を知るために、読まれるべき一書である。
(三好まあや)

装幀を担当した、影書房の『ヘルボックス』(長谷川憲一:著)の出版を記念して、銅版画展を開催します。

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三好まあや(みよし まあや)プロフィール
  • 武蔵野美術大学卒業
  • 版画家 故荒木哲夫氏に師事
  • 1983,87,89,91年 クーバン国際版画ビエンナーレ(ベルギー)
  • 1984,86年 インターグラフィック(東ドイツ)
  • 1986,88年 クラコウ国際版画小品展ビエンナーレ(ポーランド)
  • 1983,84,85,87,89,90年 カダクェス国際版画小品展(スペイン)
  • 1988,89,90年 カナダ国際版画展
  • 1994年 国展 新人賞
  • 1995,97年 CWAJ版画展
  • 1996,97年 国展 前田賞
  • 2001年 国展 準会員優作賞
  • 2001,04年 あおもり版画トリエンナーレ
  • 2002年 国展 会員推挙
  • 2003年 台湾国際版画 素描ビエンナーレ
  • 2005年 レセドラ国際小品版画展(ブルガリア)
  • 他 個展多数
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